Quadecaことベン・ラスキーは、インターネット世代から登場した中でも、ひときわ独自の道を歩んできたアーティストだ。もともとはYouTubeをきっかけに注目を集め、若くして多くのリスナーを獲得したが、彼の関心は常に“バズること”よりも作品そのものの完成度にあった。
初期のアルバム『Voice Memos』『From Me To You』で存在感を示すと、より物語性と構築力を重視した作品づくりへとシフト。その転機となったのが、2022年のアルバム『I Didn’t Mean To Haunt You』だ。セルフプロデュースを軸に、音楽と映像を一体として設計したこの作品は、インディー作品としては異例の評価を受け、批評家からもリスナーからも強い支持を集めた。
続く2024年のミックステープ『SCRAPYARD』では、ヒップホップを軸にしながらもジャンルに縛られない自由なアプローチを展開。実験的でありながらポップでもあるその音像は、結果的に彼のキャリアの中でも最も高く評価される作品となった。
近年はKevin AbstractやDanny Brownらとの共演でも話題を呼び、活動の幅をさらに広げている。2025年には新作『Vanisher, Horizon Scraper』のリリースを控えており、本人もこれまでで最も野心的なプロジェクトになると語っている。
インターネット以降の音楽シーンにおいて、セルフプロデュースと物語性を武器に独自の立ち位置を築いたアーティスト。Quadecaは今、その存在感を着実に広げ続けている。